漫画みたいなスゴイ奴:ガイウス・ユリウス・カエサル【英雄編】
前回はローマ史上最大の敵:ハンニバル・バルカをご紹介。
今回はローマのアイツです。
第一回テーマと人物たち
アレクサンドロス3世(古代マケドニア)
ハンニバル・バルカ(古代カルタゴ)
ガイウス・ユリウス・カエサル(古代ローマ)
グスタフ・アドルフ(17世紀スウェーデン)
テュレンヌ元帥(17世紀フランス)
サヴォワ公オイゲン(18世紀オーストリア)
フリードリヒ2世(18世紀プロシア)
あの半端ないナポレオンが認めた人類史に輝く英雄七人。
漫画のキャラクターのような英雄を第一回目のテーマとして扱います。
第三回目の人物は…
ローマ最大の英雄:ガイウス・ユリウス・カエサル
帝政ローマの礎を築いたローマ最大の英雄。
政治家であり、軍人であり、文筆家としても有名な人物。
では、第三回漫画みたいなスゴイ奴【英雄編】の開始!!
ガイウス・ユリウス・カエサル概要
弱体化していたローマを再び「強者」として復活させ、後の帝政ローマの礎を築いた。
圧倒的な民衆人気、数多くの女性遍歴、数多くの武勇伝を持つローマ最大の英雄。
三行でわかるガイウス・ユリウス・カエサル
- ハゲの女たらし(借金王)
- 遅咲きの英雄
- そして帝政へ…
ハゲの女たらし
ハゲ・女たらし・借金王で役満!
そのままです!
以上
と書いてしまうとどうしょうもないので、ちゃんと書きます。
このあだ名は実は公式(?)のもので、当時から言われていたそうです。
ハゲに関して
カエサルは意外にも遅咲きの人間です。
彼のキャリアは30歳あたりからスタートして政治の表舞台に出たのは40歳あたり。
また彼の頭皮も30代あたりから下り坂だったようです。
このハゲに関しては、政敵にも馬鹿にされ陰口として使われたようです。
また、本人も気にしていただようで「名誉の証として与えられた月桂冠をどこでも被っていい」という特権を与えれた際は非常に喜んだとされています。
今風にいうとカエサルは月桂冠をかつら的な意味合いで使用したのかもしれません。
女たらしに関して
カエサルはプレイボーイとして有名です。
現在残っている逸話をいくつかご紹介。
- 元老院議員の3分の1が妻をカエサルに寝取られた
- 愛人に美女で有名なクレオパトラ
- 愛人を巡る修羅場がほとんどなかった
ただし、当時のローマのモテ男は「細身、長身、女と見紛うほどの優男」だったようで、石像などで我々が見るカエサルとは真逆です。
「背が高く引き締まった体をしていた」であり、ガタイがよかったようです。
しかし事実として、カエサルは非常に女性にモテました。
なんでや?
それは女心がわかる男だったのではないかと思います。
彼の膨大な借金は愛人にかなりの額で使われています。
また、愛人との修羅場が少なかった理由も、女性との駆け引きが非常に上手かったのではないかと思います。
単純にカエサルの地位や権力が魅力的だったこともあると思いますが。
借金王に関して
若い時から借金をしていたようで、個人レベルでは返せない金額を借りていたようです。
カエサルの凄いところは「借金が少額のうちは債権者優位、借金が高額になれば債務者有利」というカラクリに気が付き利用をしていたと考えれる点です。
実際にカエサルにお金を貸していた人たちは彼を熱烈に支援したそうです。
もしカエサルが出世をしなければ、返金されないわけですから当然です。
現代でも「大きすぎて潰せない」企業に対して国が税金を投入するケースがあります。
これを個人でやってのけたのは非常に豪胆なエピソードと言えます。
凱旋時にこだまする暴言
凱旋は勝利を収めた将軍がローマに帰還する際に行われる非常に華々しい祭典です。
当然カエサルも行っており、ド派手に行われたようです。
その時に軍団兵たちがカエサルに行ったのが
「夫たちよ、妻を隠せ。ハゲの女たらしのお通りだ」
というものです。
これは意図的に酷いものだったようです。
神々が凱旋将軍に嫉妬しないよう、同時に凱旋将軍に栄誉に溺れないよう戒めるためだったそうです。
非常に高度なローマ文化らしいエピソードと言えます。
遅咲きの英雄
カエサルは先述したように遅咲きの英雄です。
歴史的に見てもレアケースだと思われます。
実際にカエサルが政治的なキャリアを歩み始めた30歳あたりの特徴は
- 会計検査官になる(30歳前後で普通のキャリア)
- 家柄がいい
- 半端ない借金
という酷い有様です。
「アレクサンドロスの年齢に達したのにも拘らず何もなしえていない」
とアレクサンドロス3世の像の前で弱音を吐いたりしてます。
芽が出る40歳ぐらいまでの10年はカエサルにとって辛い日々ったようです。
しかし軍人としての才覚や圧倒的な民衆人気などで徐々に台頭。
借金の最大債権者であるクラッススも巻き込んで権力を掌握していきます。
その後、政治的なライバルを蹴落とし終身独裁官に就任して絶頂期を迎えます。
自身の家柄やコネクションを最大限まで利用し、借金というマイナス点までも長所に替えて利用する。この強かさがカエサルの強みであり魅力であると思います。
そして帝政へ…
カエサルの活躍していた時代のローマは「共和制ローマ」であり、絶体的な個人がいない時代でした。しかしカエサルは君主制を目指していたようです。
最終的には共和制を良しとする勢力にカエサルは暗殺されます。
では、なぜカエサルは君主制を目指したのでしょうか?
それは古代の共和制のシステムが広大な領土を持つローマにおいては、機能しなくなり始めていたからです。
カエサルが生きていた時代も後に定義される「内乱の一世紀」であり、ローマの共和制は機能不全になっていました。
その混乱を収束される方法としてカエサルは君主制を選んだのです。
しかし、この君主制はローマにとっては禁断の解決方法でした。
理由は傲慢王タルクィニウスという君主制時代のローマの王を、ローマの人たちは非常に嫌っていたからです。
そのため、カエサルの君主制への転換はかつての「傲慢王タルクィニウス時代」への逆行であると共和主義たちは考えたと思われます。
カエサルの君主制への転換は暗殺によって失敗に終わります。
しかし、カエサルの大甥ガイウス・オクタウィウス・トゥリヌス(アウグストゥス)がその意思を受け継ぎ初代皇帝としてローマに君臨します。
帝政ローマは強いローマの復活であり、新しいローマの誕生でした。
この流れを生み出したカエサルは「ローマ帝政の礎を築いた男」として歴史に名を残すことになるのです。
カエサルの名言
賽(さい)は投げられた。
来た、見た、勝った。
学習より創造である。創造こそ生の本質なのだ。
出典:http://meigen-ijin.com/juliuscaesar/
まとめ
第三回漫画みたいなスゴイ奴:ガイウス・ユリウス・カエサルどうだったでしょうか?
遅咲きのハゲで女たらしで借金王。でも偉大な男。
このギャップが僕は大好きです。
イタリアの小学校・中学校ではリーダーの資質として5個の条件を挙げて
- 知性
- 説得力
- 肉体上の耐久力
- 自己制御の能力
- 持続する意志
このすべてを持っていたのはカエサルだけであると教えるそうです。
ローマが生んだ唯一の創造的天才としてその評価は高く、愛されている英雄です。
またその名はカイザーやツァーリなどの「皇帝」の語源となります。
後の歴史に与えた影響は計り知れません!
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