知られざる実在した世界の【死刑執行人】たち
本日は「世界の死刑執行人」をテーマに書いていきたいと思います。
死刑制度は世界的に見て減少傾向にあると言われ、しばしば日本の死刑制度は批判され国内外で議論となります。
歴史を紐解けば、死刑制度は非常にポピュラーなものであり、様々な時代で、様々な場所で、もっとも確実な断罪方法として行われてきました。
本日はその中でも「死刑を行うことを職業」としていた専門家たちを5人ご紹介。知られざる死刑執行人たちの姿を解説していきたいと思います。
知られざる世界の死刑執行人たち
聖ロンギヌス
聖ロンギヌス
不明
世界でもっとも有名な処刑人で「イエス・キリスト」の処刑に携わった人物です。磔になったイエスの生死を確かめるため(処刑するためとも)に脇腹に槍を突き刺したと言われています。
聖ロンギヌスは元はローマ帝国の百卒長だったと言われ、イエスに槍を突き立てた際に血が目に入り視力を取り戻したことから改心して洗礼を受けたと言われています。
エピソード・逸話
- 彼の名にちなんで聖槍はロンギヌスの槍とも言われる
- ピラト行伝で名前を確認することができる
- 視力が回復したことから改心して洗礼を受けたとされる
ロンギヌスの名前は福音書では確認できず、外典であるピラト行伝に記述されています。そのため実在した人物なのか(そもそもイエスが実在したのかも議論の余地がありますが)詳しいことはわかっていません。
日本国内では新世紀エヴァンゲリオンなどの影響から「ロンギヌスの槍」とそれにまつわるエピソードは有名で、結果的に聖ロンギヌスのことを知っている方も多いと思います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/聖ロンギヌス
シャルル=アンリ・サンソン
シャルル=アンリ・サンソン
1739年2月15日~1806年7月4日
フランス革命期のフランス、パリで死刑執行人を務めた男性で、200年以上にわたって死刑執行人を排出してきたサンソン家の4代目当主に当たる人物です。
この一族の興味深い点は死刑執行人を本業としながら同時に医師でもあった点です。当時の医学とは異なる独自で研究・開発された医療技術を駆使して様々な治療を行ったとされています。
死刑執行人の一族は通学や医師への通院が禁止されていたそうなので、自分たちで技術を磨いたとされています。また、死体の保管も仕事の一つであり、解剖による人体の研究が高度な医療技術を確立したとも言われています。
エピソード・逸話
- フランス革命時にルイ16世やマリー・アントワネットを処刑
- 恐怖政治の実行者であるロベスピエールやサン・ジュストを処刑
- 信心深く、厳格な人物で熱心な死刑廃止論者だった
- 人類史上2番目に多くの死刑を執行した人物
激動のフランス革命の中心人物たちを多く処刑したことは、彼の名前とサンソン家を世界でもっとも有名な死刑執行人にしました。
STEEL BALL RUN ジョジョの奇妙な冒険Part7のジャイロ・ツェペリのモデルだと作者の荒木先生が公言しています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/シャルル=アンリ・サンソン
ジョン・C・ウッズ
ジョン・クリス・ウッズ
1911年6月5日~1950年9月17日
アメリカ陸軍に所属をしていた軍人で、1944年10月に転属命令を受けて死刑執行人としてのキャリアをスタートさせたと言われています。
彼の名前が歴史に刻まれている理由は「ニュルンベルク裁判で死刑判決を受けた10人のナチ戦犯」の死刑執行人を務めたからです。
エピソード・逸話
- ハンス・フランク
- ヴィルヘルム・フリック
- アルフレート・ヨードル
- エルンスト・カルテンブルンナー
- ヴィルヘルム・カイテル
- ヨアヒム・フォン・リッベントロップ
- アルフレート・ローゼンベルク
- フリッツ・ザウケル
- アルトゥル・ザイス=インクヴァルト
- ユリウス・シュトライヒャー
上記の10人のナチ戦犯以外にも様々な死刑執行を行っています。ジョン・クリス・ウッズの最期は、電気椅子の点検中に誤って高圧電線に触れ感電死してしまったそうです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ジョン・C・ウッズ
山田浅右衛門
山田 浅右衛門(やまだ あさえもん)
江戸時代初期から明治初期にかけて活動を行った山田家の当主が代々名乗った名称。死刑執行人だけでなく刀剣の試し斬り役や刀剣の鑑定、丸薬の製造・販売などを行っていました。
血縁による世襲ではなく「弟子の中から腕の立つ者を跡継ぎに選んだ」そうです。高い技術が要求されることから才覚がある者が山田の名前を襲名したそうです。
エピソード・逸話
- 御様御用(おためしごよう)という刀剣の試し斬り役もしていた
- 様々な副収入があり、3万石から4万石の大名に匹敵するほどという説もある
- 明治初期に斬首刑が廃止され、その役目を終えた
「首切り浅右衛門」「人斬り浅右衛門」という異名で呼ばれていたそうです。
綱淵謙錠の小説「斬」は山田浅右衛門の苦悩を描いた作品で、この小説を経て山田浅右衛門を知った方も多いと思います。僕もそのひとりで本棚に置いてあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/山田浅右衛門
ヨハン・ライヒハート
ヨハン・ライヒハート
1893年4月29日~1972年4月26日
ドイツ最後の死刑執行人であり、先述したシャルル=アンリ・サンソンを上回る3165人の処刑を行った人物として有名です。その数は公式記録としては史上最多となっています。
シャルル=アンリ・サンソンと同じく死刑執行人の家柄で育ち、ヴァイマル共和国からナチスの時代を中心に死刑執行人として様々な処刑を行いました。
厳格な人物だったのか、膨大な数の処刑数に関わらず決められていた執行手順を遵守し、罪人に苦痛を与えないように速やかに首を切断したと言われています。
エピソード・逸話
- 人類史上もっとも多くの死刑を執行した人物
- ジョン・クリス・ウッズと共にナチ戦犯の処刑を行った
- 特殊な職業ゆえに死刑廃止後、孤独な人生を歩んだ
先述したジョン・クリス・ウッズと共にナチ戦犯の処刑を行っています。ライヒハートもナチ党員だったのですが「死刑執行人としての義務を遂行したものである」として無罪になり、死刑執行人として再雇用され処刑を担当しました。
その職業故か嫌われ、息子も自殺をしています。非常に孤独な人生を歩んだと言われています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ヨハン・ライヒハート
まとめ
知られざる世界の死刑執行人たちいかがだったでしょうか?
世界的に有名な処刑人を5人ご紹介させて頂きました。本日紹介した中で山田浅右衛門は小説「斬」をきっかけに知りました。
非常に面白い小説なのでまだ未読の方はぜひ、手にとってみてください!
また、処刑された人たちをテーマに記事を複数書いています。合わせてどうぞ!